2026年3月2日〜5日、スペイン・バルセロナで世界最大のモバイル展示会MWC Barcelona 2026が開催されました。今年のテーマは「The IQ Era(知性の時代)」。人工知能(AI)がスマートフォンから通信インフラまであらゆる分野に浸透し、モバイルテクノロジーの未来像が一気に示された4日間でした。
本記事では会場で発表された注目ニュース・製品を日本語でわかりやすくまとめます。各セクションに英語原文記事・公式プレスリリースへのリンクカードと引用画像を添えています。
① Lenovo Legion Go Fold ― 折りたたみゲーミングハンドヘルド(コンセプト)

Lenovoが展示したコンセプト機Legion Go Foldは、11.6インチのフレキシブルディスプレイを7.7インチサイズに折りたためるゲーミングハンドヘルドです。任天堂Switchのようなスタイルで、着脱式コントローラーをスライドして取り外せます。
- 折りたたみ時:7.7インチ表示 / 展開時:11.6インチフルサイズ
- 着脱式コントローラー(右側にはスクロールホイール・OLEDミニ画面・タッチパッド内蔵)
- ポゴピン接続のワイヤレスキーボードでラップトップモードも対応
- ホットスワップ対応のUSB-C / USB-A / HDMIポート
まだコンセプトモデルの段階ですが、完成度の高さからゲーミングPCとスマートフォンの境界を溶かす次世代デバイスとして会場で大きな注目を集めました。
Lenovo StoryHub
Lenovo at MWC 2026: Consumer AI Laptops, Tablets, and Concepts
LenovoのMWC 2026公式プレスリリース。Legion Go Fold ほか全製品を網羅。
② Honor Robot Phone ― カメラがロボットアームで動く革新的スマホ

中国メーカーのHonorが披露したHonor Robot Phoneは、背面のカメラが4軸ジンバルアームで自在に動くという前例のないスマートフォンです。撮影時はアームが展開してカメラを最適な角度に自動調整し、不使用時は背面のコンパートメントに格納されます。
- メインカメラ:2億画素センサー
- 3軸手ブレ補正 + Super Steady Video モード
- AI Object Tracking(被写体追跡)
- 発売は2026年後半予定
Honor Magic V6 ― 世界最薄クラスの折りたたみスマホ

同社はHonor Magic V6(折りたたみスマートフォン)も発表。折りたたみ時わずか8.75mm・展開時4.0mmという世界最薄クラスのデザインに、Snapdragon 8 Elite Gen 5と6,660mAhの大容量バッテリーを搭載しています。
| Honor Magic V6 スペック | 詳細 |
|---|---|
| 折りたたみ厚さ | 8.75mm(ホワイト) |
| 展開時厚さ | 4.0mm |
| チップセット | Snapdragon 8 Elite Gen 5 |
| RAM | 16GB |
| バッテリー | 6,660mAh(シリコン素材25%) |
| カメラ | 50MP×2 + 64MP望遠 + 20MP自撮り |
HONOR Global
HONOR Advances Its AI Vision at MWC 2026
HonorのMWC 2026公式発表。Robot Phone・Magic V6・Humanoid Robotを紹介。
③ Xiaomi 17 Ultra & Leica Leitzphone ― ライカ×Xiaomiの究極カメラスマホ

Xiaomiがライカ(Leica)との共同開発モデルをMWC 2026でグローバル発表しました。2機種展開で、いずれも1インチセンサーと物理ズームリングを搭載した本格的なカメラスマホです。
| Xiaomi 17 Ultra | Leica Leitzphone by Xiaomi | |
|---|---|---|
| メインカメラ | 1インチ 50MP(f/1.67) | 1インチ + 物理ズームリング |
| 望遠 | 200MP 1/1.4インチ(Leica APO) | 同左 |
| ディスプレイ | 6.9型 OLED 120Hz | 同左 |
| チップ | Snapdragon 8 Elite Gen 5 | 同左 |
| バッテリー | 6,000mAh(シリコンカーボン) | 同左 |
| 価格 | €1,499〜(欧州) | €1,999〜 |
Leitzphoneはライカが設計したカメラUI・モノクロモード・ライカフィルターを搭載し、写真体験にこだわるプロユーザー向けに位置づけられています。
Xiaomi Global
Xiaomi Launch February 2026 | Xiaomi 17 Series & Leica Leitzphone
Xiaomi公式グローバルイベントページ。Xiaomi 17 UltraとLeica Leitzphoneの情報。
④ TECNO モジュラースマホ ― 10種類のモジュールで自分だけの1台に
新興メーカーのTECNOは4.9mm超薄型のベース端末に10種類の交換可能なモジュールを磁気で接続できるモジュラースマートフォンのコンセプトを展示しました。
- ベース端末の厚さ:わずか4.9mm
- モジュール:カメラレンズ交換・ゲームコントローラー・バッテリー拡張など10種類
- 接続方式:独自の磁気接続(Modular Magnetic Interconnection Technology)
2016年に登場して消えた「Project Ara」の夢を現実に近づける挑戦。コンセプトながら完成度の高さが業界内で話題を呼びました。
⑤ 衛星通信・5G・6G ― インフラも「IQ Era」へ

今年のMWCはデバイスだけでなく通信インフラの革新も大きなテーマでした。
衛星通信
- Vodafone × Amazon:LEO衛星を活用したヨーロッパ・アフリカ向け4G/5Gサービスを発表。最大ダウンロード速度1Gbps、アップロード400Mbpsを目指す。
- Starlink × Deutsche Telekom:2028年を目標にヨーロッパ10ヵ国で衛星モバイルサービスを提供予定。
- GSMAと欧州宇宙機関(ESA)が1億ユーロをAI・非地上系ネットワーク・D2D・6G研究に拠出。
5G / 6G
- Qualcomm X105:業界初の3GPP Release 19対応5Gモデム。最大ダウンロード速度14.8Gbpsを実現。
- Ericsson × Intel:6Gエコシステム整備に向けた協力関係を発表。
- NvidiaがBT Group・Cisco・Deutsche Telekom・Ericsson・Nokia・SK Telecom・SoftBank・T-Mobileと共にオープンな6Gプラットフォーム支持を表明。
- BT × Ericsson:英国全土で5G Standalone(SA)の能力拡張を発表。
⑥ Samsung Galaxy AIエコシステム ― スマホを超えたAI体験

SamsungはGalaxy S26シリーズを中心に、AIを活用した製品エコシステムをMWCで大々的に展示しました。新機能“Now Nudge”はエージェント型AIとして、ユーザーの行動を先読みしてアシストします。
- Galaxy S26 Ultra(コンシューマー版・エンタープライズ版)
- Galaxy XR:ヘッドセット型デバイス
- Galaxy Z TriFold:3つ折りスマートフォン
- Now Nudge:予測型エージェントAIアシスタント
会場ではGalaxy AIがスマートフォンからタブレット・ウォッチ・PCまでエコシステム全体に広がっていく様子がデモで示されました。
Samsung Newsroom
MWC 2026: Galaxy AI Expands Across the Ecosystem
SamsungのMWC 2026公式発表。Galaxy AIエコシステムの展開を詳説。
⑦ 日本のNICTが展示 ― テラヘルツ通信・量子暗号・AIアバター
日本の国立研究開発法人NICT(情報通信研究機構)もMWC 2026に出展(Hall 6, Stand 6F54)。「人間中心の信頼できるデジタル社会」をテーマに3つの分野でブース展示を行いました。
| テーマ | 展示技術 |
|---|---|
| 🌐 Connect(接続) | テラヘルツ無線バックホールシステム、衛星・高高度プラットフォームへのレーザー通信、持続可能なO-RANインテリジェンス |
| 🚀 Expand(拡張) | サイバネティックアバター遠隔操作、AIリアルタイム多言語音声翻訳 |
| 🔒 Secure(防御) | 量子ベース長期セキュア通信・ストレージ、NICTERによるサイバー攻撃リアルタイム監視 |
テラヘルツ通信は6G以降の超高速無線通信として研究が進む分野。NICTの技術は世界の研究機関でも注目を集めています。
まとめ
MWC Barcelona 2026を一言で表すなら、「AIのない発表はなかった」年です。カメラがロボットアームで動くスマートフォン、モジュール交換式の端末、衛星が地上の5Gを補完するインフラ——毎年進化を続けてきたモバイル業界が、2026年はAIを起爆剤に一段加速しました。
日本のNICTも世界の大舞台で存在感を発揮しており、テラヘルツや量子暗号といった次世代技術で日本の競争力を示しました。

